『まさかの事業継承まさかの労働争議を乗り越え学んだこと』
入社一年後、前社長(父上)の他界により、急な事業継承を強いられた北原氏。
ワンマンタイプで社員が後に着いてくる前社長のとは違い、羊を追い立てるように社員と接する北原氏に当初、社員は新社長にどう接していいのか分からず困惑の色を隠せませんでした。
そんな折、賞与の支給に関する問題が引金となり労働争議が発生しました。
何故、このような事態になったのでしょうか?
北原氏自身、社員とのコミュニケーションの欠如が何よりも大きな原因と指摘しています。会社の置かれている立場と今後の会社方針の説明が充分行われなかった事に反省して、以後社員とのコミュニケーションを親密に図って経営されて来られました。
現在、社員さんとは信頼関係のある労使関係を築きあげています。
労使間のコミニケーション、これはただ単に、仲良くなる為のものではなく信頼関係を築く事を主軸に置いたものでなくてはなりません。勿論、会社がこれから向かう方向性を理解した上での事ですが、経営理念をツールとしたコミュニケーション作りは会社の方向性を示すのにとても良い方法だと言えます。
なぜならば経営理念を作るまでの過程に労使見解(経営者の責任を第一に考え、社員をもっとも信頼できるパートナーとする精神)が必ず入ってくるからです。
中小企業家同友会の「経営理念作成」と「労使見解」は労使間の信頼関係を構築していく上で沢山のヒントが詰まっているように思いました。更なる会員間の学習と自社への普及の必要性を感じました。
今回のグループ討論におきましても社員さんとの信頼関係の構築について様々な意見が出ました。朝礼の実施や全体ミーティングの必要性はもとより、更に深い信頼関係を築ける個別の面談や自主的に社員の意見を取り入れた経営体質を作る事など多岐に渡って意見が交換されました。
最後に、北原氏の祖父の言葉「労働組合ができるような会社にはするな。組合がなくとも信頼関係を構築し、発展していける会社がよい会社だ」このフレーズが特に印象に残った例会でした。
北原さんはじめ出席下さった方々有意義な例会となりました、心からお礼申し上げます。
望月編織工業株式会社 営業部長 望月靖之