経営相談室だより【No.5】
経営相談室が開設し、1年が経過しました。まだまだ皆様に存在が認知されていないのか、相談件数が低いのが現状です。税務会計・法務・労務それぞれの専門家への相談がいつでも無料で受けられる経営相談室を有効活用してください。
経営相談室だより第5回は社会保険労務士の安原裕司が担当させていただきます。
会員の皆様の中には、新入社員の扱いの難しさに頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。社会全体を見ますと、今までの『うつ病』とちょっと傾向がちがう『現代型うつ病』が若い世代に多くなっているそうです。『現代型うつ病』を知ることにより、現代の新入社員達の特性にも気付くことでしょう。
今までの『うつ病』のイメージというと、真面目に一生懸命働く人がストレスを蓄積し『うつ病』を発症するというものだったと思います。しかし、『現代型うつ病』は、責任感が希薄で、他者に配慮するどころか批判を繰り返し、さほど仕事熱心とも思えない社員が、ちょっとしたことが原因で仕事に来られなくなってしまうという病態です。たとえば、仕事が遅く業務が残っていても残業しないで帰ってしまう新入社員に、「自分の担当の業務は自分の責任で終わらせてから帰宅しなさい」と上司が注意すると、業務をどの様に進めれば良いか具体的に指導してくれない上司が悪いんだと同僚に言いふらすという新入社員に、社長が「君も社会人だからもっと自覚をもって頑張ってもらわないと困るよ」と言ったら『うつ病』になったというケースです。
このようなケースは、本当に『うつ病』なのかと感じる方が多いと思いますが、『現代型うつ病』も通常の『うつ病』と同じ『うつ病』だそうです。
『現代型うつ病』の患者の多くは、ただ単に人格の成熟が遅れているだけで、十分に成長の可能性があります。この人格の成熟が遅れた社会背景には、両親の過保護的な対応や、友人関係の希薄化により、小学校高学年くらいの時期に、「人にもまれる」という経験をせず、集団のなかで沸き起こる葛藤とうまく折り合いをつけることを経験しないまま成長してしまったこと。ゆとり教育を受けていたものが、ゆとりのない社会に出たときに、今まで失敗したことが無い自分が失敗するはずはない、失敗するのは他者のせいだ、それなのに皆は自分のせいにすると考えるため、「会社に入る前に感じていた自己評価」と「会社の自分に対する評価」のギャップに耐え切れなくなって『現代型うつ病』を発症してしまいます。
このように、現代の新入社員の中には人格が未熟なものが多くいます。会社としては、未熟なものを育成してあげてください。彼らの成長を支援しようとする姿勢を崩さず、彼らの意見を受容しつつも、組織のルールを身につけてもらうように指導しましょう。また、本人の自己決定を促し、自分の決めたことは自分で責任を持って実行し、できなければ自分で責任を取る、そんな当たり前な社会規範を身につけさせ少しずつ人格を熟成させてください。
うちにもこんな社員がいると思った場合には、『現代型うつ病』を発症する前に経営相談室にご相談ください。
著 : 安原社会保険労務士事務所 代表 安原 裕司
経営相談受付窓口
(電話)055-236-5537 同友会事務局