特別決議「外形標準課税適用拡大など中小企業向け増税に反対」
特別決議
外形標準課税適用拡大など中小企業向けの増税に反対します
政府税制調査会は、外形標準課税の適用を中小企業まで拡大することや中小企業向けの増税を検討するなどの法人税改革への提言を行いました。もし外形標準課税の適用拡大等が実施されるなら、消費税増税に引き続く増税により、経営の活力を削ぐ可能性があります。しかも、外形標準課税の適用拡大等の理由が、法人税減税の代替財源であることは、まったく承服できません。
私たち中小企業家は企業活動を通じて納税者としての社会的責任を果たしています。中小企業は、従業員給与の所得税や社会保険料などを負担しており、日本経済の根幹を支えています。外形標準課税は赤字企業でも払わなければなりません。今般、可決・成立した小規模企業振興基本法等の趣旨とも、成長戦略とも相反するものです。中小企業憲章には、中小企業の声を聴き、どんな問題も中小企業の立場で考えるとありますが、手続的にも中小企業の声を聴かない、一方的なやり方に異議を申し立てるものです。
私たちは、改めて次のことを確認します。
一、法人事業税の外形標準課税適用拡大では、資本金1億円以下の中小企業も外形標準課税の対象とすると、従業員への給与総額や資本金が新たな課税対象となります。中小企業は正規雇用率が高く、雇用の安定を支えている存在であり、雇用や賃金水準の維持・向上にとって阻害要因にしかなりません。賃金課税である外形標準課税適用拡大に反対します。
一、中小企業の法人所得800万円までの部分に適用されている軽減税率15%を取りやめ、大企業と同じ25.5%に引き上げるのは、中小法人の税率軽減の否定です。株式で資金調達できる大企業と違い、中小企業の自己資本比率の増大は納税でしか実現できません。現行法の継続を要望します。
一、欠損金繰越控除の利用制限や、中小法人向け租税特別措置の利用制限など、中小企業にこれ以上の負担を課すことに反対します。
一、減価償却制度を見直し、定率法を禁止し、定額法のみにしようとしています。減価償却の前倒しができなくなり、機動的な設備投資型の中小企業にとっては打撃です。成長戦略とは矛盾する政策であり反対します。
私たち中小企業家は、今春の賃上げや労働条件の改善では精一杯の努力を重ねてきましたが、このような増税は景気回復の芽をつみかねません。特に見過ごすことができないのが、社員に大きな負担がかかっていることです。消費税率の8%への引き上げ、さらに10%の増税予定の連続と、社会保険料の負担など、物価高も加え、かなりの負担増になります。社員の家計を考えれば、容認できることではありません。
外形標準課税適用拡大など中小企業向けの増税策に、改めて断固反対の立場を表明するものです。
2014年7月11日
中小企業家同友会全国協議会第46回定時総会